【シティポップ】海外「日本では“ジジくさい時代遅れ”扱いらしい」→ 各国「じゃあ自国の音楽は?」で気づく“あるある”
海外で大人気の「シティポップ」、本国では“ジジくさい音楽”?
YouTubeをきっかけに、竹内まりやや山下達郎に代表される70〜80年代の日本のポップス——通称「シティポップ」——が世界中で再評価されている。その熱狂に、海外の音楽好きが集まる掲示板で、ある投稿が波紋を呼んだ。「日本ではシティポップなんて“おじいちゃんが聴く、ダサくて時代遅れな量産型の音楽”扱いだ。日本人は、なんで外国人がこれをわざわざ聴くのか不思議がっている」というのだ。
投稿者は「中国人観光客がニューヨークのパンクの店で“70年代のヒット曲”を探すようなもの」と挑発的にたとえたが、これに各国のユーザーが噛みついた。「他人の評価で聴く音楽を決めるのか」という反発、「むしろ土台になった黒人音楽を考えれば正当な選択だ」という分析、そして「自分の国でも全く同じ現象が起きている」という共感——。話題は“本場と海外の温度差”という、音楽好きなら誰もが思い当たるテーマへと広がっていった。
以下、海外の反応からその背景と現状を独自の視点で分析していく。
海外の反応 (19件)
日本では「シティポップ」なんて、おじいちゃんが聴くダサくて時代遅れの量産型音楽って扱いだぞ。 日本人は、なんで外国人がわざわざこれを聴くのか不思議がってる。 たとえるなら、中国人観光客がニューヨークの地下のパンク・レコード店に入ってきて「デビー・ブーンの“辛い夜を乗り越えて”ある?中国じゃ70年代最大のヒット曲なんだ、大好きでさ…無い? じゃあ“ディスコ・ダック”は?ケニー・ロジャースは?」と聞くようなもんだ。 誰もまともに取り合わないし、“音楽の趣味が終わってる”と思うだろうよ
>>1 “なんで外国人が聴くのか日本人は困惑してる”の答え? そんなのエキゾチシズムと“雰囲気(vibes)”に決まってるだろ
ただの良質なポップスだよ。ABBAやニール・ダイアモンド、カーリー・サイモンと同じだ。誰かの祖母のお気に入りだからって、それで自動的にダメな曲になるわけじゃない。海外のリスナーだって、これがすごく聴きやすい“商業音楽”だと分かって聴いてる。誰も“知る人ぞ知る音楽”だなんて思っちゃいないよ
>>3 むしろ80年代のアレサ・フランクリンやジョージ・ベンソンを探すのに近い。シティポップがまさに土台にした音楽だ。完全に真っ当な選択だよ
OPのたとえは全然的外れだ。パンクのレコード店はニッチな店で、そこに置いてない商品を尋ねることと、かつて流行ったスタイルの音楽を好むことは何の関係もない。だいたい、18世紀のドイツ人が俺たちのバッハ好きを認めるかどうか、誰か気にするか? ブーマー世代がディスコ好きを承認するか気にするか? お前は一体何が言いたいんだ
>>1 シティポップが好きな俺が、なんで太平洋の向こうの誰かの感想を気にしなきゃいけないんだ。日本版の“その辺のおっさん”に「俺はシティポップ好きじゃない」と言われたくらいで聴くのをやめる…どれだけのにわかだよ。他人に承認を求める方がどうかしてる
>>1 これは違うと思う。日本人がシティポップを好きなのは、アメリカ人が好きだからだよ
>>7 ははっ、アメリカが憧れの対象だった時代なんて、とっくに終わったよ
>>1 OPがスレに貼った画像、どう見ても“日本のパンクのレコード店”で撮られたものじゃないか。それをわざわざ伏せてるあたり、結論ありきで話を作ろうとしてるだろ
そもそもOPはアイオワ州出身のイーサンって奴で、日本のことなんて何も知らないんだよ
>>1 もし中国人観光客がケニー・ロジャースのアルバムを探してたら、俺はむしろ“世界一イケてる奴”だと思うけどな
>>1 ジャジー(ジャズっぽい)だから良いんだよ
うちの兄が似た経験をしてる。ブラジル人と車に乗ってて「バイレファンキのコンピがあるよ、これブラジルの音楽だろ?」と流したら、相手は曲は分かるけど少し気まずそうに「これは古いやつだね」と言ったらしい。外国人が俺たちアメリカ人に「ラップ持ってるよ」と言って“Parents Just Don't Understand”を流すようなもんだ。ただ、そのブラジル人が好きな新しいバイレファンキの方が、たぶん出来は悪い。今のラップがダメなのと同じでね
スウェーデンも全く同じだ。外国人はみんな“スウェディッシュ・メタル”(国内では2%しか聴かない)か、ABBA、それと国外向けに作られた“スカンジ・ポップ”とかいう、こっちじゃ大して人気でもないものに夢中になる。スウェーデンで一番人気なのは、海外の誰も興味を示さない大人向けポップやシンガーソングライター、ありふれたロックなんだよ
>>1 連中の感想なんか知るかよ。あいつらの音楽評価サイトじゃ、1位がイエスの『Close to the Edge』だぞ
>>14 それで思い出した。昔読んだアシッド・マザーズ・テンプルの河端一のインタビューで、アメリカ人記者が「日本ではノイズ/サイケロックがすごく人気ですよね」と何度も繰り返すんだ。最後に河端が「どこからその情報を得てるのか分からないが、この音楽は日本では全く人気がないし、大半の人は存在すら知らない」と返してた
>>14 店でかかってるラジオを聞く限り、スウェーデンでは今もそんな感じだ。ラップもそこそこ大きいが賛否が激しくて、古いメディアは存在しないかのように扱う。R&Bはなぜか根付かなかった。クラブ文化が無いせいかもな
>>1 みんな“Tsumanne(つまんね)”についてはどう思ってるんだ? 俺が本当に好きな唯一の日本のアルバムなんだけど
知ったことか。俺はこの春もずっと、山下達郎を爆音で流すだけだ。
管理人の分析・見解
バブルが生んだ「過剰なほど豪華な音楽」
シティポップとは、おおむね1970年代後半から80年代にかけて日本で作られた、洗練された都会的なポップスの総称だ。山下達郎、竹内まりや、大瀧詠一、大貫妙子、角松敏生、杏里、松原みきといった顔ぶれが代表格とされる。
この音楽を語るうえで欠かせないのが、当時の好景気という背景だ。レコードが飛ぶように売れた時代、潤沢な制作費で一流のスタジオミュージシャンを集め、何日もかけて録音する——そんな“贅沢な作り方”が許された。アメリカのAOR、ファンク、ソウル、ブギーを貪欲に吸収し、高い演奏技術とリッチな音像で「都会の夜」や「ドライブ」を歌う。海外のリスナーが「土台はアレサ・フランクリンやジョージ・ベンソン」と指摘したのは正確で、シティポップは“日本が高い精度で消化したアメリカ音楽”という性格を強く持つ。
興味深いのは、「シティポップ」という呼び名自体が近年になって——しかも主に海外を起点に——後付けで定着した点だ。当時の日本では単に「ニューミュージック」などと括られており、ひとつの神聖なジャンル名として扱われるようになったのは、海を渡って再発見されてからのことである。
表1. シティポップの代表的アーティスト
| 代表的アーティスト | 代表曲の一例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 山下達郎 | RIDE ON TIME | シティポップの象徴。緻密なコーラスワーク |
| 竹内まりや | プラスティック・ラブ | 海外再評価の中心。夫・山下達郎が編曲 |
| 松原みき | 真夜中のドア〜stay with me | TikTok発で世界的に再ブレイク |
| 大貫妙子・角松敏生・杏里 | — | 都会的でメロウなサウンドの担い手 |
YouTubeのアルゴリズムが起こした「プラスティック・ラブ」現象
海外での再評価の象徴が、竹内まりやが1984年に発表した「プラスティック・ラブ」(編曲は夫の山下達郎)だ。火付け役は、人間ではなくYouTubeの「おすすめ」アルゴリズムだった。2010年代後半、一枚の女性のジャケット風画像とともに、この曲が世界中のユーザーへ次々と自動表示され、再生数が雪だるま式に伸びていった。
おもしろいのは、その“顔”として広まった写真が、実はこの曲の発売時のものではなく別の時期に撮られたものだったという点だ。さらに、人気が出るほど権利上の理由で削除され、別の誰かがまた上げ直す——という「いたちごっこ」が長く続いた。最終的に、このブートレグ的な人気を追認する形で、公式のミュージックビデオが制作・公開されるに至った。下が、その公式版である。
スレで海外ユーザーが再評価の理由を「結局はエキゾチシズムと“雰囲気(vibes)”だ」と冷静に分析していたのは鋭い。歌詞の意味が分からなくても、煌びやかなサウンドとレトロな映像美が、海外の若者には逆に新鮮な“未知の心地よさ”として刺さったのである。
TikTokの再点火と、海外発の「再発掘ビジネス」
ブームはYouTubeだけでは終わらなかった。松原みきが1979年に発表した「真夜中のドア〜stay with me」は、2020年末にTikTokをきっかけに世界中へ拡散し、複数の国でSpotifyのバイラルチャート首位に立つという、発表から40年越しの“世界的ヒット”を記録した。
この熱は、ビジネスの形も生んだ。アメリカの再発専門レーベルが「Pacific Breeze」と題したシティポップの編集盤シリーズを世界市場向けに発売し、当時のレコードは中古市場で高騰。さらに、2010年代に広まったネット音楽「ヴェイパーウェイヴ」から派生した「フューチャーファンク」が、シティポップをサンプリング素材として多用し、Night Tempo(昭和グルーヴ)のようにオリジナル音源を正式にリエディットして世界へ届ける作り手も現れた。海外の熱が、再発・リミックス・サンプリングという複数の経路を通って循環している構図だ。
表2. シティポップ再評価を後押しした要因
| 再評価を後押ししたもの | 内容 |
|---|---|
| 動画サイトの自動レコメンド | 「プラスティック・ラブ」を連鎖的に世界拡散 |
| TikTok(2020年末〜) | 「真夜中のドア」が各国バイラルチャート首位に |
| 海外レーベルの編集盤・レコード再発 | 「Pacific Breeze」等。アナログ盤が高騰 |
| ヴェイパーウェイヴ/フューチャーファンク | サンプリングと公式リエディットで再拡散 |
なぜ本国・日本だけが冷めているのか
ここまで海外が熱狂しながら、当の日本では「祖父・親世代が聴いていた、ちょっと古い歌謡」という程度の温度感にとどまる。理由は、日本人にとってシティポップが“知る人ぞ知る発掘モノ”ではなく、リアルタイムで茶の間に流れていた当時のヒット曲=売れ線の商業音楽だったからだ。身近すぎて神秘性がなく、わざわざ掘り起こす対象になりにくい。
そして、この温度差は日本に限った話ではない。スレでもスウェーデン人が「外国人が夢中になるスウェディッシュ・メタルなんて国内では2%しか聴かない」と語り、別のユーザーは日本のサイケロックバンドが海外で“人気”と誤解される実例を挙げた。「外から見た“その国らしさ”と、中の人の日常感覚は大きくズレる」——シティポップ・ブームは、その普遍的な現象が、たまたま日本を舞台に最も鮮やかに起きた一例なのである。
表3. 海外のイメージと本国の実情のギャップ
| 国 | 海外が抱くイメージ | 本国の実情(スレでの声) |
|---|---|---|
| 日本 | シティポップ=オシャレ | 「祖父世代の古い音楽」という認識 |
| スウェーデン | メタル/スカンジポップ | 国内では一部のみ。主流は大人向けポップ |
| ブラジル | バイレファンキ | 「それは古いやつだ」と少し気まずい |
結論:他人の評価より「好き」が勝つ
長い議論の末に各国のユーザーがたどり着いた答えは、驚くほどシンプルだった。「シティポップが好きな自分が、なぜ海の向こうの誰かの感想を気にする必要があるのか」「他人に承認を求める方がどうかしている」。本場でどう評価されていようと、ダサいと言われようと、自分が良いと思うなら聴けばいい——という、音楽の原点である。
その姿勢を最も鮮やかに示したのが、議論を締めた一言だった。「知ったことか。俺はこの春もずっと山下達郎を爆音で流すだけだ」。本国での評価も、流行り廃りも関係ない。良い音楽は、ただ鳴らして浴びるためにある。海外でのシティポップ・ブームの本質は、案外この“理屈抜きの好き”という一点に尽きるのかもしれない。
翻訳元■