【論争】海外「日本のハイボール、薄いのに$17は高すぎ」→ 現地組「居酒屋なら490円だぞ」で一転、羨望の的に
「薄すぎ・高すぎ」? 海外が“日本のハイボール”でモメる
海外掲示板に、淡い色をした炭酸の飲み物の写真とともに、こんな投稿が立った。「これが“超薄いウイスキーの炭酸割り”だ。お会計は$17。これって単に『日本だから』ってだけで、本当に好きで飲んでる人がいるの?」。いわゆる“煽り”混じりのこの一言に、スレッドは一気に沸いた。値段は本当に高いのか、ハイボールは薄いだけの飲み物なのか、そもそも日本の酒文化とは——。賛否と脱線が入り混じる議論になった。
以下、海外の反応からその背景と現状を独自の視点で分析していく。
海外の反応 (15件)
>これが“超薄いウイスキーの炭酸割り”だ >お会計$17ね、兄弟 これって単に『日本だから』ってだけ? それとも本気で美味いと思って飲んでる人が実際にいるの?
ハイボールが$17もするわけないだろ。普通の居酒屋なら大体500円=3ドルだ。ちゃんとウイスキーが一杯分入ってて、アメリカのバーで頼むどのショットより安い。次はもっとマシな“炎上狙い”を持ってこいよ。
日本に行ったらハイボールを何杯か試すの、結構ToDoリストの上位なんだよな。自分で作るとどうもいつも美味くないからさ。
兄弟、あれは文字通りウイスキーに氷と炭酸水を入れただけだぞ。それを再現して美味くないなら、飛行機に乗ったところで結果は変わらんと思うが…。
いや今回は“日本のウイスキー”ってのが効いてくる。トキ(Toki)みたいな、米国産やスコッチに比べてかなり華やかな銘柄を使うからな。
まあ変わらんかもな。でもどうせ酒を出す店には行くんだから、1〜2杯やるのは普通に楽しいだろ。意味とか抜きで、ちょっとした体験をその場の楽しさのためにやるのが好きなんだ。大半はハイボールじゃないだろうけどさ。
日本も多くのアジアの文化と同じで、上質な酒をちびちび味わうというより“酔っぱらうために飲む”んだよ。ハイボールは飲みやすくて、量を飲めばちゃんと酔える。
“ただの水で割ったウイスキー(水割り)、日本”ってのを発見するのは、まだこれからのお楽しみだぞ。
『龍が如く0』で、酔い状態のバフ目当てにハイボールを連打してたわ。サムネがいつも美味そうでさ。で、5杯飲ませた桐生に烏龍茶を流し込んで〆るっていう。
アルゼンチンのレストランで、夕食の一部として何かのベルモットの飲み物をいきなり出されたことがある。たぶん画像のやつよりもっと薄かった。でも悪くなかったし、店の粋な計らいって感じだったよ。
ウイスキーの炭酸割りが嫌いなら別にいい。でもな、よほどの高級銘柄じゃない限り、日本ではめちゃくちゃ安いんだよ。うちの近所の焼き鳥屋なんて、1Lのメガハイボールが490円だ。特に夏に飲むと最高にうまい。
管理人の分析・見解
“$17”は誤解——居酒屋のハイボールは世界屈指に安い
まず論争の発端になった「$17(約2,600円)」という値段だが、これは日本のハイボールの実態とはかけ離れている。現地在住とみられる複数のコメントが指摘した通り、ふつうの居酒屋であればハイボールは1杯およそ400〜500円、ドル換算で3〜4ドル程度だ。チェーンの焼き鳥屋や大衆酒場では「メガジョッキ(約1リットル)で490円」といった価格も珍しくない。ウイスキーをきちんと一杯分使っていてこの値段であり、アメリカのバーでショットを頼むより明確に安い。つまり「高すぎる」という最初の主張は、観光地価格かぼったくり店の一例を“日本の標準”と誤解したものだった可能性が高い。
グラフで見る:ウイスキー出荷量は“ハイボールブーム”でV字回復した
そもそも、この「居酒屋のハイボール」という存在自体が、日本のウイスキー産業を救った立役者である。国内のウイスキー出荷量(課税移出数量)の推移を見ると、その劇的な浮き沈みがよく分かる。
表1. 国産ウイスキーの国内出荷量の推移
| 年 | 国内出荷量(課税移出) | 規模イメージ |
|---|---|---|
| 1983(ピーク) | 約36.0万kL | ████████████████████ |
| 2007(どん底) | 約5.9万kL | ███ |
| 2020 | 約13.0万kL | ███████ |
| 2021 | 16.0万kL | █████████ |
| 2022 | 19.1万kL | ███████████ |
| 2023 | 20.5万kL | ████████████ |
(出典:国税庁「酒のしおり」課税移出数量。1983年・2007年・2020年は概数)
1983年に約36万kLという最盛期を迎えたあと、ウイスキーは「おじさんの古くさい酒」というイメージで敬遠され、2007年には約5.9万kL——ピークのおよそ6分の1にまで落ち込んだ。流れを変えたのが、2008年にサントリーが本格的に仕掛けた「角ハイボール」キャンペーンである。居酒屋でジョッキにたっぷり注いで提供するスタイルが「食事に合う・飲みやすい・安い」と若い世代や女性に受け、出荷量はそこから連続して増加。2023年度には20.5万kLまで回復した。スレッドで外国人が驚いている「居酒屋のハイボール」という光景は、まさにこの統計上のV字回復そのものなのだ。
それでも酒全体ではわずか約2.4%——“ニッチ”としてのウイスキー
ただし、ここで冷静に全体像も見ておきたい。ハイボールブームでウイスキーが復活したとはいえ、日本人が飲む酒の中でウイスキーが占める割合は、実はかなり小さい。令和4年度の酒類の課税数量を品目別に見ると、構成比は次のようになる。
表2. 日本の酒類市場の構成
| 品目 | 割合 | 規模イメージ |
|---|---|---|
| リキュール(チューハイ等) | 32.1% | ████████████████ |
| ビール | 29.2% | ███████████████ |
| 焼酎 | 8.6% | ████ |
| 発泡酒 | 7.6% | ████ |
| ウイスキー | 約2.4% | █ |
| その他(清酒・新ジャンル・果実酒等) | 約20% | ██████████ |
(出典:国税庁「酒のしおり」令和4年度 酒類課税数量の構成比。ウイスキーの割合は19.1万kL÷総数約795万kLからの概算)
最大勢力はチューハイなどを含む「リキュール」で約32%、次いでビールが約29%。日本人の晩酌の主役は、いまや缶チューハイとビールである。一方、あれだけ話題のウイスキーは全体の約2.4%にすぎない(19.1万kL/総数のおよそ795万kL)。つまりハイボールは「広く愛されてはいるが、量で見れば小さなニッチ」という、絶妙な立ち位置にある。だからこそ、海外から見ると“やたらと推されているのに実は少数派”という不思議な飲み物に映るのかもしれない。なお、ここで挙げた出荷量・構成比はいずれも国税庁の統計(酒のしおり)に基づくものである。
「水割り」「角ハイ」——日本独自の“薄めて飲む”文化
スレッドでは「そのうち“ただの水で割ったウイスキー(水割り)”も発見するぞ」という皮肉も飛んでいた。これは的を射ている。日本には、強い酒をあえて薄めて飲む独自の文化がある。背景にあるのは、酒を「それ単体でじっくり味わうもの」ではなく「食事と一緒に進めるもの(食中酒)」と捉える発想だ。アルコール度数を下げて炭酸や水で割れば、脂の乗った焼き鳥や濃い味の居酒屋料理とも合わせやすく、長い時間ちびちびと飲み続けられる。欧米の「上質なウイスキーをストレートで少量味わう」スタイルとは出発点が違うのである。コメントにあった「日本(アジア)は酔うために飲む」という見方も一面では当たっているが、より正確には「料理と一緒に、軽く長く楽しむために薄める」文化と言ったほうが実態に近い。
結論:薄いと笑った側が、最後は羨ましがる
通読して面白かったのは、最初は「薄い」「高い」と煽っていた空気が、議論が進むうちに少しずつ崩れていったことだ。「自作だと美味くない」という嘆きには「日本のウイスキーは香りが違う」という擁護が付き、値段の話には「居酒屋なら激安」という現地報告が次々と重ねられた。やがて『龍が如く0』でハイボールを連打したという脱線まで飛び出し、スレッドは妙に和やかな空気になっていく。そして最後に効いてくるのが、ある現地組の一言だ——「近所の焼き鳥屋なら1Lのメガハイボールが490円。特に夏に飲むと最高にうまい」。薄いと笑っていたはずの飲み物は、こうして“うらやましい安さと心地よさ”の象徴へと変わっていった。
翻訳元■